ブロークバック・マウンテン

「保守的なアメリカの西部で、20年以上にも渡って男同士の愛を貫いた2人の“普遍の愛”を描く人間ドラマ。主演のヒース・レジャーとジェイク・ギレンホールが20歳から40歳までの年齢も繊細に表現した演技を見せる。監督は『グリーン・ディスティニー』のアン・リー。ブロークバックの山々を美しく映し出した映像にも注目」

(シネマトゥデイ解説より一部抜粋)

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 主役のひとり、ヒース・レジャーといったら自分にとっては当然バットマンのジョーカー役でした。善が悪に負けるところを見たくて仕方ない、白塗りの顔の狂気の男。

でも今回の映画では、まったく別人のような演技を見せます。無口でナイーブな、もそもそと喋る、自然の中にいるのが大好きな男。

 この映画の内容には惹かれたものの、長い間観る気がしなかったのは、映画の宣伝文句と相性が合わなかったから。「感動の涙がとまらない!」「あなたはこれまで誰も見たことのない愛を目撃する!」みたいなことを言われれば言われるほど、観る気持ちは萎えていきました。おとぎ話みたいなものを見せられるのかなと。

 でもとうとうあるときこの映画を観て、この映画が全然おとぎ話じゃないことを知りました。登場人物は殴り合うし怒鳴り合うし、嘘はつくし、勝手なことを平然と言っていたりもする。粗野で自分勝手。この映画では、誰かを傷つけていることの罪悪感さえ、美しく描かれたりはしない。

 でもそれだけに、映画を観終わる頃には、登場人物たちに対して「この人たちは、本当にこうやって生きるより仕方がなかったんだな」と心から思うことになった、とても正直な、全然甘くない、でも胸が痛むほどの美しい愛の物語でした。

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