春の帰省


帰省してきた。

この日に合わせて仕事も終わらせ、すっきりした気持ちで出発。

二泊三日の間、快晴の日もあれば強風の日もあれば雨の日もあった。

実家がある町は風が強く吹くことが多い町で、そのせいか、わたしにとっては怖くなるほどの強風だというのに、家の人はおっとり平然としていた。

町の人たちも、強風を話題にするほどでもない様子。

慣れってすごい。

たしかにわたしも、一晩で二十センチ雪が積もっても別に今更驚いたりはしない。

実家のある町は北海道なのにあまり雪が降らない土地だから、もしも一晩で二十センチも雪が積もったりしたら、きっと上へ下への大騒ぎだろう。


・・・などと考えたりしながら、実家では家事を手伝ったり、家族の代わりにスーパーに買い物に行ったり、本を読んだりしながらゆっくり過ごした。

タブレット端末を持って行ったので、家の電波を分けてもらって作動させ、普段通りラインをしたりSNSをチェックしたりもできた。

便利だなあ。すっかりこのタブレット端末なしでは過ごせなくなっている。


ちなみに帰省中に読んだ本は、銀色夏生のつれづれシリーズ最新刊「心をまっさらに、さらし期」と、川上弘美のエッセイ集「晴れたり曇ったり」。

川上弘美さんの本を読んだのは久しぶりだった。相変わらずその文章は、つかみどころがない感じなのにすごい存在感。

もう六十歳近い年齢になっている人だと知ってむちゃくちゃ驚く。

それであの透明感はすごい。


単身での帰省だったので、行きも帰りもバスに乗った。

写真はバスの中から撮ったものです。

海と牧場があり、かもめと馬がいる町。

わたしはこの年齢にしては身軽なくらしをしている女だと思う。

その身軽さを責めるような考え方をした時期もあったけれど、今はもう、そんなふうに後ろ向きに考えるのはやめて、この暮らしだからできることに目を向けて、やっていきたいなと思う。

たとえばこうやってふらりと単身帰省できることで、家族は「顔が見れてうれしい」と言ってくれ、九十二歳のおじいちゃんもにこにこ笑って喜んでくれた。

それでいいのだし、それが宝物なんだと今は思える。





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