昨日読み終えた本。
ロジーナ・ハリソン著「おだまり、ローズ」。
「おやすみ」や、「さよなら」、「こんにちは」みたいな出だしで始まるタイトルの本はあったような気がするのだけれど、「おだまり」から始まる本のタイトルには出会ったことがなくて、最初からなかなかのインパクトを残した本。
これは日本語版オリジナルのタイトルらしい。
イギリスの資産家の奥様に35年に渡って仕えたメイドさんによる手記。
とても面白かった。
奥様が大分破天荒な人だったらしく、どのメイドも長続きしないのだけれど、彼女だけは奥様が亡くなるときまで側で仕えた。
...のも納得の、このメイドさんの賢さと気の強さ、そして誇り高さ
に感心させられた。一方で、奥様も相当クセが強い人だったようだけれど、心根の優しい人でもあった様子。
奥様との思い出を、ざっくりした年代順にただひたすらに書き綴っていくスタイルは、一気読みには向いていないけれど(カズオ・イシグロの「日の名残り」よりももっと手記調。あちらはやっぱりストーリーというものがあった)、その当時のお金持ちの暮らしとか風習、感心事だとかが細かに書いてあって、興味深かった。
奥様、しょっちゅう仕事とか招待とかで旅行に行くのだけれど、そのときに持っていく荷物の量が凄くて、お付きの人たちの苦労がしのばれた。
帽子も大きいし、宝石も大きくて重そう。今とは違って化学繊維の衣服はほとんどなく、多くは天然素材だろうから、すごく嵩張っただろうし、荷解きしたあとのアイロンがけの手間もおそろしくかかっただろうな...。
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