夏至


もうすぐ子供が巣立ちの時期らしく、近所に巣を作ったカラスたちの気が立っていて大変恐ろしい。
ちょっと物干しまで洗濯物を干しに行っただけなのに、うちの子をねらってる! と勘違いされて、両親がわあわあ言いながら急いでこちらへ飛んでくる。
怖いよう!
わたしはびくびくしながら、なるべく急いで洗濯物を干したりして情けない。

でも、親たちの気持ちも想像できるから、無事巣立ちのときがくればいいねという気持ちで過ごす。

さて、今日は夏至らしい。
一年で一番昼間が長い日。
夏至や冬至、春分・秋分の日なんかは、お願い事をするのに良い日だと聞いて、これまでは何かしらお願い事をしてきた。
でも今年の夏至は、お願い事をしようという気にならない。
もちろん叶ったら嬉しい願いは今もあるけれど。

昨日、ささやかだけど喜ばしいイベントがあって、両親や家族に会ってきた。
家族といえども各々、悩みや苦労を抱えていることは知っているけれど、それでも昨日会ったときは皆笑顔で、良かったなあ、とにもかくにもここまで皆生きてきて、同じことで今一緒に喜んでいるなんて幸せなことだなあと思って、胸がいっぱいになった。

親子であろうが兄弟であろうが夫婦であろうが、やがて散りぢりになるわたしたち。
でも少なくとも今は、こうやって顔を合わせて楽しく過ごせる時間を持てている。そのことには感謝しかなくて、今年の夏至は、お願い事ではなくて、ただ感謝して過ごすことにした。

奪われるときは一瞬。
でもその一瞬から逃れ続けていられる時間のことを、幸福と呼んだり、幸福と呼んだりするのかもしれない。

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