ゴットファーザー


言わずと知れたマフィア映画の金字塔。パート3で完結していますが、1から3まで合わせると、およそ9時間にも及ぶ大長編です。

この作品はマフィア映画であると同時に、イタリアシチリア島にルーツを持つ、コルレオーネ家の三代に渡る家族の物語でもあります。

コルレオーネ家には五人の子供たちがいて(ひとりは養子)、家長である父親ビト・コルレオーネが亡くなったあとは、この子供たちが成長し、中心となってファミリーを動かしていきます。

血の気の多い長男ソニー、やがて弁護士となってファミリーを支えることになる、ソニーが一家に連れてきた孤児のトム、優しいけれど気が弱く、大人になってからは弟に対する劣等感でいっぱいだった次男フレド、賢く、豪胆である一方、周囲にあるささやかな声に耳を傾けることは苦手だった三男マイケル、潜在的に、弱く甘ったれな男性ばかり好きになってしまい、ファミリーに問題を持ち込むことになってしまう末娘のコニー。


パート1は初代ドン・コルレオーネ(ビト)が亡くなるまでを、パート2では、ビトが、シチリア島からアメリカに移民として渡り、ファミリーを形成し大きくしていくまでと、跡を継いだ三男マイケルの人生が交互に描かれます。そしてパート3では、老年期に入ったマイケルとその家族の物語が綴られていきます。

パート2以降、マイケルはどんどん厳しい立場に立たされていきます。ファミリーは大きくなり、より裕福になっていくのに、幸せからは少しずつ遠くなるのです。

彼はただファミリーを守りたかっただけなのかもしれないのに、彼が頑張れば頑張るほど、家族の気持ちは彼から離れていきます。

そのことが、時間をかけてみっちり描かれるパート2は見ていて辛いのですが、パート3ではかすかな希望も見えてきます。


まず最初に好きになったのはパート1ですが、何度か見返すとパート3のよさがじわじわと伝わってきます。そして結局は、パート2なくして、3まで見終えたあとの静かな充実感もないことに気づきます。

マフィア映画なのでそれなりに暴力的なシーンもありますが、ネチネチしたところ、グロテスクなシーンはなく(個人的にはそう感じました)、そして全編を通して、音楽や映像がとにかく素晴らしい。

時間や国を飛び越えて、どっぷり別の世界を堪能したいときにもおすすめしたい映画です。

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