ブルージャスミン

サンフランシスコの空港に美しくエレガントな女性が降り立った。彼女は、かつてニューヨーク・セレブリティ界の花と謳われたジャスミン(ケイト・ブランシェット)。しかし、今や裕福でハンサムな実業家のハル(アレック・ボールドウィン)との結婚生活も資産もすべて失い、自尊心だけがその身を保たせていた。

 庶民的なシングルマザーである妹ジンジャー(サリー・ホーキンス)の質素なアパートに身を寄せたジャスミンは、華やかな表舞台への返り咲きを図るものの、過去の栄華を忘れられず、不慣れな仕事と勉強に疲れ果て、精神のバランスを崩してしまう。

 名曲「ブルームーン」のメロディに乗せて描かれる、あまりにも残酷で切ない、ジャスミンの運命とは───。

(公式サイトより)

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人は自分にないものを求めるもの。

自分にとってケイト・ブランシェットのようなクールかつ美しい顔だちかつ長身のスタイルは、三拍子そろって永遠の憧れです。

そんな彼女がこの映画では、ちょっと頭のたががはずれた女性を見事に演じていました。

また、随所にウディ・アレン監督の意地悪さが光っていて、にやりとしてしまいます。

個人的にもっとも印象に残っているのは、ラストシーン。

実はジャスミンはオープニングシーンとほぼ同じ服を着ているのだけれど、ノーメイク(おそらく)、シャワーから出たばかりで髪はびちゃびちゃ、しかもベンチに座って呆けたような顔でひとりごとをつぶやきます。気味悪く感じたベンチの隣人はさっさと席を立ってしまう。

でもそのときのジャスミンの表情が圧巻だった。

多分わざとおでこにしわが寄るような喋り方をしていて、それは彼女をとても老けて、疲れているように見せていた。これまでどんなピンチに陥ったときでも美貌は損なわれなかったというのに。そのことに、ジャスミンの心の中に起きた大きな変化を感じてしまいます。

彼女を救うヒーローは現れず、そこで映画は終わります。

見ているこっちも「いやジャスミン、困ったね」という気持ちで放り出されるようなもの。

でも後味はまったく悪くない、個人的には大好きなコメディ映画でした。



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